こんにちは。

先日、注文をまったく覚えてくれないカレー屋さんに行きました。
 
よく行くお店で、もちろんカレーがうまい。
だけど、毎度、自分の希望通りのカレーを
出してもらうまでが大変なんだ。
 
「チキンカレーで、辛さは中辛、ご飯少なめ、
チーズトッピングで、ドリンクはホットコーヒー」
 
メモを取るおじいちゃんに合わせて、ゆ～っくり言う。
きっと今日も違うのが出てくるんだろうな。と思いながら。

真剣にメモを取り終えて、
おじいちゃんは厨房のおじちゃんに言った。
 

「チキンカレー中辛１つ」
 

・・・・。
 

おいっ、もう違うではないか。
ご飯の量はどうした！
チーズは！？
 

まあまあ。よいよい。
待とうではないか。
 
大きな気持ちで。
 
メモを取った伝票は確実に厨房にぶら下がっている。
 
しばし待とう。
 
 
 
お。きたきた。
 

「きのこカレーお待たせ」
 
ん？それは、たぶん向かいの席の人のカレー。
 
俺のほうが覚えている。
 
「あっちの人のじゃないですか？」と、やさしく教える。
 
あわてて向かい側に持っていくおじいちゃん。
うんうん、いいよいいよ。あわてずに。
 
 
 
こんどこそ、きたきた。
 
 
 
・・・・。
 
 
 
ご飯少なくなってない。
チーズ乗ってない・・・。
 
 
 
てか、隣の席の人のカレーにチーズが乗っている。

常連さんは知っていて、あちこちで注文の答えあわせが行われている。
「あ、それ僕のです」みたいな。

 

さて、俺。チキンカレーはあっている。
ご飯の量は、もはや諦めた。
てか頼んだ時点で、半分は諦めているので許容範囲なのだ。
しかし、チーズはやっぱり欲しい。

「あのぅ、チーズを・・・」

「あ！チーズね」

 

いったん厨房に引っ込んで、おじいちゃんすぐに熱々のチーズをかけてくれた。

うまいんだなぁこれが。
 
 
 
食べ終えて、ちょうど客も引いてゆったりした店内で
満腹感に浸っていると、少し余裕が出たのか、おじいちゃんが
にっこりしながら、食後のドリンクを出してくれた。

 

「はい。お待たせ」(にこにこ)

 

・・・・・・アイスティー。
 
 
・・・・・。(にこにこ)

 

うん、いいよ。たぶん俺の滑舌が悪くて、ホットコーヒーがアイスティーに
聞こえたのかもしれないよな。
いや、きっと俺は、アイスティーなんだ。
もはや、おじいちゃんの微笑には「君はアイスティーの方がいいよ」
という説得が含まれているような気までする。
うん、アイスティーが飲みたくなってきた。

 

やや遅れてガムシロップを持ってきてくれた。
もちろん、にこにこで。
２本目のストロー付きで。  

 
 
何が出てくるかわからない。
出てきてからのお楽しみ。
いわゆる、ガチャポンみたいなカレー屋だと思えばよいのだ。
スリリングで楽しいではないか。おじいちゃんは一生懸命メモっているし、
カレーはどのみちおいしいのだから。
言葉を並べているだけのマニュアル店員さんよりは
自然でいいじゃないか。
 

全てが注文通り出てくることを、
祈ったり、祈らなかったりしながら、
足繁く通い続けてしまう俺がいる。

 

というわけで、
急に寒くなって参りましたが、
心まであったまるカレー屋さんは年中無休で、
今日もがんばっていることでしょう。

 
 

ちなみに、ここのメニューはほとんどセットで、
お会計を間違われたことはありません。

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